2000年11月2日~5日京町家「袋屋」で期間中500人が来場
京滋インテリア協会は1991年7月の発足から10周年を迎え、その記念事業として2000年11月2日から5日、京都市下京区の京町家「袋屋」でイベントを開催しました。このイベントは1年間の準備期間を設け、総合プロデューサーのもと「春」「夏」「秋」「冬」の各チームに分かれ、メンバー全員の参加を目指してプランニングをしてきました。それぞれのチームがどんな作品になるのか、全体のバランスがうまくいくのかなどと心配しながら、何度もミーティングを重ねてすすめてきたものです。
イベントは「四季がおりなす生活空間の演出」をテーマに、町家を春夏秋冬のエリアに分けての展示がメイン企画。また尾澤卓男氏の「歌舞伎衣装の色」と吉田孝次郎氏の「京の冬座敷・夏座敷」の二つのセミナ、南條聖子さんと佐々木滋隆氏のよるヴァイオリンとギターのミニコンサート、浮世絵の摺師・市村守氏のよる浮世絵摺りの実演、友禅型彫刻師の西村俊彦氏の実演のほか、これまで広報などに登場していただいた作家さんの作品などの展示・販売も行うなど盛りだくさんの内容。
期間中、若い人から年配の方まで500人を超える来場者でにぎわいました。来場した方からは、「ホッとします」「いい空間です」「落ち着きます」「心が和みます」などの感想が多かったほか、「昔にタイムスリップしたよう」という年輩の方など、「なつかしい」もキーワードの一つでした。
私たちにとって、最近注目されている京町家での開催はプレッシャーでもありました。すでにそれだけで充分完成された空間で、どれだけ意義ある提案ができるのか。正直なところ不安でしたが、協会の10周年のイベントとしては大変意義深い題材だったと思います。
なお今回のイベントには「日本文化デザイン会議2000京都」をサポートする同会議京都支援実行委員会より助成を受けることができました。
町家のもっとも町家たる部分、台所、通り庭で春華やぐには、自然の山野草が似合います。桜の花も、自然の光を通してゆらぐのがいい。火鉢は開花を促す暖を象徴。
座敷は夏のしつらえ。京都の夏は半端な暑さではない。京町家は少しでも涼しく感じられるように工夫されています。それをもうひとひねり、涼しく感じさせられればとの想いで床の間の滝となり、風を感じるタペストリー、さわやかな青竹の飾り棚、テーブルとなりました。
離れ座敷、庭をながめながらもの想う――。町家にいながら自然との一体感を味わえます。狭く閉鎖的なイメージのある町家の奥にはこんなぜいたくな部分があり、京都人の気質を見るような気がします。自然には自然が似合う。磨き抜かれた座敷には、磨き抜かれた北山杉、本物には本物しか対抗できないと感じます。
蔵前の小部屋。“ほっこりと火鉢にでもあたって、ひといき、いっぷくしまひょ”、誰か、そう声をかけてくれたよう・・・。